消化器センター
[日本外科学会外科専門医制度関連施設]
[日本消化器外科学会専門医制度関連施設]
[日本大腸肛門病学会関連施設]
大腸ポリープの中には前がん病変と言われる腺腫性ポリープ等があり、これらは、サイズ・形態より判断し、切除の適応となる事が多いです。前がん病変を放置すると数年間の経過の中で癌が発生する可能性が高くなるのです。
内視鏡治療(粘膜切除術(EMR))
EMRの合併症
出血
内視鏡を使った手術はお腹を切る手術と異なり傷口をしばることはできません。そのためポリープ切除部の傷からの出血はある頻度では避けられないというのが実状です。電気メスを使い焼くことにより出血を予防するのですが一般に100人に1人位の割合で出血がおこるとされています。ポリープが大きい場合は出血を予防するために金属のクリップで傷を縫います。最近は積極的にクリップを使用していますので出血はの頻度は少なくなってきています。(なおこのクリップは小さいものなので、1ヶ月位しましたら、気づかないままに排泄されます。)。出血はポリープ切除後3日以内に起こることが多いのですが、希に2週間位してから、治りかけたかさぶたが剥がれるようにして出血することもあります。しかし、ほとんどの場合は切除後3日が最も注意を要しますので生活上の注意も3日が重要です。
大きなポリープほど中を走る血管が太く出血の危険は大きくなります。このようなポリープを切除した場合は出血の危険が高くなります。 激しいスポーツや、飲酒、サウナなどは血行を良くするため出血を起こし易くします。
もし出血(血便)が見られた場合はすぐに御連絡ください。出血の対処方ですが、出血量が多く、持続する場合はもう一度内視鏡を入れて、クリップを追加でかけることにより止血します。そのような場合は2、3日入院が必要になるかもしれません。しかし、輸血を必要とすることは通常はありません。(お年寄りの方で体力のない方の場合は念のために輸血することもあります。)。いずれにせよ手術を必要とすることは極めて特殊な場合(極めて巨大なポリープ・大量出血など)以外はありません。
穿孔
腸に穴が開いてしまう病態です。
非常に限局したものであれば、絶食+抗生剤にて自然に穴が閉じる可能性がありますが、原則的には便や雑菌がお腹の中に広がり、腹膜炎という重大な病態に移行する可能性が高く、手術(開腹手術)を行い、穿孔部を閉じて、お腹の中を洗浄する必要があります。
頻度としては、数千人から数万人に1人程度と低いものです。
基本的には、切除時に起こりますが、まれに数日後に起こる事もありますので、持続する腹痛には注意して下さい。更に発熱を伴う腹痛は、危険信号です。
症例提示
- ①ポリープを見つけました
- ②わかりやすく少し色をつけた生理食塩水をポリープの下に局注し、ポリープを隆起させます
- ③スネアにてポリープを締めています
- ④電流を流し、切除した所です。綺麗に切除できました
- ⑤クリップにて傷を縫縮して終了です
小さいポリープの場合の症例提示(ホットバイオプシー)
- ①小さいポリープを見つけました
- ②小さいポリープはホットバイオプシー鉗子にて焼いて処置をします
- ③鉗子で摘んで焼いて処置した所です。ポリープは白く変性しています