消化器センター
[日本外科学会外科専門医制度関連施設]
[日本消化器外科学会専門医制度関連施設]
[日本大腸肛門病学会関連施設]
胆汁は肝臓で分泌され、胆嚢に貯えられ濃縮されます。食事などの刺激で胆嚢が収縮すると、胆汁は胆管を通って十二指腸に流れこみ、脂肪の消化酵素であるリパーゼの働きを助けます。
胆石は胆嚢や胆管内にできた結晶で、胆嚢にあるときは胆嚢結石症(胆石症)、胆管にある時は総胆管結石症、肝臓内の胆管にあるときは肝内結石症といいます。
胆石が胆嚢の中にあるときは何の症状もでません。しかし、胆石が胆管を塞ぐと疝痛(引いては繰り返す痛み)が起こります。
食後30分から2時間に右上腹部の痛み、吐き気、嘔吐が起こります。胆石特有なものは、右上腹部を圧迫したときの痛みです。胆管がふさがり、感染がおこると、発熱、悪寒、黄疸がでます。
総胆管結石の治療
ファーストステップ(ERCP検査)
胆管の十二指腸への出口である十二指腸乳頭へ造影チューブを挿入していき、そこで内視鏡の先端から造影剤を注入して胆管をX線撮影します。石がどこにあり、サイズがどれ位あるのかを確認します。
セカンドステップ
内視鏡で引っ張り出す為に出口(十二指腸乳頭)を広げる必要があります。主に下記の2つの方法があります。
(a)内視鏡的乳頭括約筋切開術
(Endoscopic sphincterotomy:EST)
内視鏡を用いて十二指腸までチューブを挿入し、胆管の出口にあたる乳頭部にEST用ナイフを挿入し切開します。
(b)内視鏡的乳頭バルーン拡張術
(Endoscopic papillary balloon dilatation:EPBD)
乳頭部を跨ぐようにバルーン(風船)をおき、膨張させることで乳頭を拡張します。
サードステップ
内視鏡より、胆管の中に石を砕いたり(砕石)、取り出したり(採石)する道具を挿入し、肉眼(内視鏡)やX線下で石を確認し石を除去します。
ERCPの合併症の頻度(内視鏡学会調査)
検査数 | 偶発症(%) | 死亡数(%) | |
---|---|---|---|
1983~1987年 | 133928 | 143(0.107) | 14(0.0105) |
1988~1992年 | 209147 | 245(0.117) | 14(0.0067) |
1993~1997年 | 189987 | 213(0.112) | 12(0.0063) |
ERCPの合併症内訳(内視鏡学会調査)
原因 | 偶発症数(%) | 死亡数(%) |
---|---|---|
急性膵炎 | 157 | 6 |
穿孔 | 25 | 3 |
急性胆嚢炎 | 10 | 1 |
ショック | 8 | 2 |
その他 | 13 | 0 |
計 | 213(0.112) | 12(0.0063) |